Category: 大江健三郎

[ 読後感想 ] 大江健三郎著『宙返り(上)』 オウム真理教事件を受けて、大江健三郎氏が何をどのようなことを読者に訴えようとしているのかを考えつつ、下巻に取りかかった。

25 6月 20
Kazu
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僕は、1968年生まれで、現在、52歳だが、リアルタイムで経験したオウム真理教事件は、相当ショックであった。

世間一般の人同様、理系の大学院まで行ったような高学歴な人間が、麻原のインチキくさい、似非科学に騙され、彼の言っている事を安易に信じてしまうのが、僕自身、理系の大学院を卒業した身であったが、全く不思議であった。

同じ大学院でも文系ならまだしもであったが、仮にも理詰めで考察せねばならない理系分野の人間が、錬金術のような摩訶不思議な事を信じてしまうというメンタリティが理解できなかった。

また、地下鉄サリン事件の実行犯に医師がいたというのも、同じく医療系大学に進学し、医療系にも就職した経験がある僕には、ショックであった。
裁判の過程で、臨床、つまり現実世界との接点が大きい医師から、麻原の呪縛から解けて行ったのは、ある意味当然だとしても。

自分の学んだ分野、仕事に大いに関係するこの事件に、僕は大いに興味をそそられた。

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