世間的には、吉田喜重という監督は知られていないが、僕は、ファンである。
吉田喜重監督は、大島渚監督、篠田正浩監督と共に松竹ヌーベルバーグの一人である。
バブル時代に学生時代を送っていた僕は、非常に近い時代の日本で革命運動が存在した事を知った時、かなり驚いた。
幾つかの本を読んだが、60年安保と70年安保では性格が全くと言ってよいほど異なる。
70年安保運動の思想的背景には、まるで興味がないが、”事件”としての70年安保には、非常に興味があります。
この『実録・連合赤軍 あさま山荘への道程』 を観る前に、同じあさま山荘事件を扱った高橋伴明監督の『光の雨』を観ているのだが、引き続き、興味を持ち、この『実録・連合赤軍 あさま山荘への道程』を観た。
もともとは、音楽で、それぞれ独立して進行する二つ以上の旋律を同時に組み合わせて楽曲を構成する作曲技法のことを指し、Wikipediaで検索しても音楽のことが書かれています。
しかしながら、建築や映画、文学などで音楽の対位法の手法を応用して、二つの対位的な雰囲気の様式、情景、主題、音楽などをわざと組み合わせて作品を構成する手法。
精選版 日本語国語大辞典 より
具体的には、例えば登場人物が悲しむ場面で、わざとハッピーで楽しい音楽をつけ、その登場人物の悲しむ場面を、よりいっそう際ださせる手法です。
これらの手法は、多くの映画で取り入れられてますが、今回は、僕が印象に残っている巨匠・黒澤明の「野良犬」と同じく巨匠であり、鬼才でもあるスタンリー・キューブリックの「時計じかけのオレンジ」を取り上げます。
尚、スタンリー・キューブリックの「時計じかけのオレンジ」は、映画の1場面ですが、黒澤明の「野良犬」は、三船敏郎扮する刑事と凶悪犯人との対決を描いた重要なラスト近くのハイライトシーンであるため、黒澤明のファンもしくは興味のある映画ファンでこれから、もしくは将来的にこの「野良犬」を観ようと考えている方は、動画は、観ない方がよいと思います。
文章だけでも読んでいただければ、この「野良犬」における映画の対位法について、理解できるかと思います。